よくお問い合わせをいただく『ちょっと気になる目の病気』をまとめてみました。


 ドライアイ
涙の量が少ない、あるいは涙の油分が足りないなどで、目が乾いて、ごろごろする、充血する、眼が疲れるといった症状が出てきます。これを乾性角結膜症とよびます。 重症の場合は、視力が低下したり、目が痛くなることもありますので、早めの治療がおすすめです。


 結膜炎・おもな結膜炎の種類
1. ウイルス性結膜炎(はやり目)
ウイルスが原因。激しい充血とめやに、痛み、涙が特徴です。他人にうつさないように、手はきれいに洗う、目を触らない、タオルは家族と別にする、幼稚園・学校や仕事は休むなどの対策が必要です。 抗生剤やステロイドの点眼で治療します。

2. 細菌性結膜炎
ぶどう球菌などの細菌が原因。抗生剤の点眼で治療します。

3. アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダスト、ペットの毛、コンタクトレンズの汚れ等が原因。抗生剤、抗アレルギー剤、ステロイドの点眼等で治療します。

4. アトピー性角結膜炎
アトピー性皮膚炎に合併して起こる慢性角結膜炎です。目のかゆみ、充血、目やにといった症状はアレルギー性結膜炎と同様ですが、角膜にも炎症をおこしたり、 白内障や緑内障、網膜はく離を合併して重度の視力低下をおこすことがありますので、要注意です。

5. 乾性角結膜炎
乾燥が原因でおこる結膜、角膜の障害です。人工涙液やヒアルロン酸の点眼治療を行います。

6. その他、外来の異物や紫外線等によっても結膜炎はおこります。


 角膜の障害(角膜炎・角膜びらん・角膜潰瘍)
角膜(黒目の部分)の障害は、けがなどの外傷や、コンタクトレンズの不適切な使用、細菌やウイルスの感染、ドライアイによる乾燥、その他さまざまな原因でおこります。 程度にもよりますが、目の痛み、充血、目やにや涙、視力低下などをおこします。角膜混濁を起こして、治癒後も視力障害が残ってしまうと、角膜移植が必要になる場合もありますので、早期の治療が大切です。


 急性緑内障発作
ヒトがものを見るときには、まず、外から目の中に入ってきた画像情報が、視神経とよばれる神経を通して脳に送られます。そして、脳がその画像情報を組み立てて認識し、 私たちははじめてものが見えたと感じるのです。 緑内障では、その情報を伝達している視神経に異常が起こり、眼からの情報を正確に伝えられず、脳で画像をうまく組み立てることができなくなります。 その結果、視力や視野に障害がおこります。緑内障のなかでも急激に眼圧が上昇し、眼の充血や痛みや、頭痛、吐き気など激しい症状を起こすものを急性緑内障とよびます。急性緑内障では、時間がたつほど視力、 視野が失われていき、治りにくくなるので、すぐに治療を行い、眼圧を下げる必要があります。


 眼瞼炎
眼瞼炎は、まぶたや目の周りの皮膚が腫れて赤くなったり、ただれてかゆくなったり、かさぶたなどを生じたりします。


 視神経炎
視神経炎は、視神経(網膜に映った物の形や色、光などの情報を脳神経細胞に伝達する神経)が障害される病気です。視神経の炎症によるものを視神経炎、炎症性でないものを視神経症と区別します。 急激に視力が低下し、視野の真ん中の、見ようとするものが 見えにくくなる中心暗点が起こります。


 網膜はく離
網膜剥離の多くは、網膜に穴が開いてしまい(網膜裂孔)、そこに硝子体の組織が入り込んで網膜が離れてしまうものです。網膜剥離の初期症状としてよくあるのが飛蚊症です。 また、目を閉じると端のほうに光が走る光視症も網膜剥離の初期症状として現れることがあります。やがて剥離部位が網膜全体に広がると、視野の欠け、そして急激な視力低下、失明にいたることもあります。 飛蚊症や、視野が狭いと感じたら、すぐに眼科を受診することが大切です。


 ぶどう膜炎
眼球は、3層の膜でつくられていますが、真ん中の膜がふどうの色、形をしているためにぶどう膜と呼ばれています。ぶどう膜は、虹彩、毛様体、脈絡膜と呼ばれる部分からできていますが、 そこにおきる炎症がぶどう膜炎です。目が赤い、痛い、まぶしい、涙がでる、見づらい、かすんで見えるといった症状が、ぶどう膜炎の自覚症状になります。ぶどう膜炎には重症のものも多く、 失明する可能性も高いので、これらの症状がでたらすぐに眼科を受診することが大切です。


 近視、遠視、乱視、不同視などの屈折異常
近視は、屈折力が強すぎ網膜の手前で焦点が合ってしまい、近くは見えますが遠くはぼやけてしまいます。遠視は、 屈折力が弱すぎて網膜の後ろで焦点が合ってしまい、近くも遠くもぼやけてしまいます。 乱視は、角膜の形状が楕円等にひずんでいるため、 目の縦と横等の屈折度が異なる結果、焦点がどこにも合わず、遠視以上に目が疲れやすいといわれています。 また、乱視は近視や遠視の目にも起こります。 不同視は、左右の視力、例えば右の視力が1.0で、左の視力が0.1というように、両目 の屈折度数に大きな差があることをいいます。 屈折異常は、裸眼で不自由であれば、 眼鏡やコンタクトレンズで矯正します。 当院では希望者に眼鏡処方箋、コンタクトレ ンズ処方箋を発行しており、いずれの販売店でもご利用になれます。


 老視(老眼)
老視(老眼)とは、目の老化現象のことです。加齢に伴い、目の水晶体の弾力性が低下したり、水晶体を支える毛様体筋が衰え、その結果ピントを合わせる調節機能が低下、 近くにピントを合わせにくくなった(近くが見づらくなった)状態をいいます。近くのものが見えにくくなるので、本や新聞を遠くに離して読んでしまいます。また、読書後に肩こりや疲れ目、 頭痛などの症状が出る場合も老視(老眼)の初期症状と考えられます。


 白内障
ピントを合わせるためのレンズの役割を持つ水晶体が濁り、視界がかすんだり光のまぶしさが増すなどの症状が出る病気。発症の原因としては加齢が最も多く、 早い人では40歳位から発症することもあります。 水晶体の濁りは少しずつゆっくり進んでいきますが、一度濁った水晶体は元通り透明にはなりません。視界がかすんだり光をいつも以上に眩しく感じたら診察の合図。すぐに診察を受けるようにしましょう。また、上記のような症状がなくても40歳を超えたら診察を受けてください。 早めの診察で合併症などの多くのリスクを回避することができます。


 緑内障
視神経がおかされ視野が欠けてしまう病気。白内障と並んで中高年の代表的な眼の病気で、最近の大規模な調査では、中高年の20人に1人が何らかの緑内障をもっていることが予測されています。 自覚症状が少ないため、多くの人たちが緑内障と気づかないことが多く、40歳を過ぎたら一度眼科で診察をうけることをおすすめします。 人間ドック等の健康診断で視神経乳頭の異常でみつかることもあります。


 飛蚊症
ある日突然に、あるいは、いつの間にか目の前に蚊やゴミのような物が飛んで見えたり、雲のようなものが浮いて見えたり、墨を流したように見えたりする病気です。 飛蚊症は、あらゆる年齢層に起こりますが、高齢の方ほど、特に近視の人ほど多く見られます。生理的なものが多いのですが、網膜剥離等の前兆である場合もありますのでこのような症状がでたら、 早めに眼科専門医の検査を受けてください。